ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ虐殺、アメリカによるベネズエラ・イランへの攻撃…
戦後80年が過ぎ、世界はいままた大戦の空気に包まれつつある。日本も例外ではない。
大江健三郎は「戦争」と「戦後社会」について発信し続けた作家である。
1973年には「新しい戦前」という言葉で核時代の危機を指摘するなど、政治や戦争、世界の欺瞞と向き合ってきた。
その大江の作品を文学者・小森陽一と歴史学者・成田龍一が相互の視点から読み解き、戦後体制、日米関係、核、憲法改正といった、現在我々が直面している危機の本質を探る。
小森陽一(こもり よういち)
東京大学名誉教授。専門は日本近代文学。著書に『戦争の時代と夏目漱石』『漱石を読みなおす』『構造とての語り・増補版』など。
成田龍一(なりた りゅういち)
日本女子大学名誉教授。専門は近現代日本史。著書に『近現代日本史との対話』『増補「戦争経験」の戦後史』『戦後史入門』など。
長瀬 海(ながせ かい)・構成
ライター・書評家。共著に『韓国文学ガイドブック』など。
戦争が近づき、憲法が危うい今こそ、大江健三郎の視点が必要だ!
大江作品を、いま目の前にある『新しい「戦前」』との緊張関係で読む営みを実践したい
──成田龍一
日本の戦後がアメリカによる単独占領からはじまった意味をいま一度考え直さなければならない。大江健三郎を読む意義はそこにある。
──小森陽一