三島由紀夫 ふたつの謎
著者: 大澤 真幸
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近代日本が生み出した最高の知性が、なぜこれ以上ないほど「愚か」な最期を選んだのか?
そして、「究極の小説」を目指して執筆した最後の長編『豊饒の海』のラストは、なぜ支離滅裂ともいうべきものになったのか? 
1970年11月25日、三島は市ヶ谷駐屯地に向かう前に、編集者へ『豊饒の海』の最後の原稿を渡すよう準備を整えている。つまりこのふたつの謎には何らかの繋がりがあると考えるべきなのだ。
だが、これまで誰もそれを「合理的」に説明できていない。あの日、作家の内部でいったい何が起きていたのか?日本を代表する社会学者が、三島の全作品を徹底的に読み解き、文学史上最大の謎に挑む!


【目次】

第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎
なぜあのような愚行を/「えろう面白いお話やすけど……」/結末はいつ決められたのか/接吻の失敗/成功

第二章 仮面の無意識
サド侯爵夫人は良人と別れた/仮面の告白/「終わり」から遡及的に読むと/空っぽの椅子

第三章 時代錯誤の決起
どちらがどちらを殺したのか/二つの時代錯誤/昭和と一緒に生まれた世代/英霊たち

第四章 鉄の肉体
宇宙人たち/鉄の肉体/「潮騒」と「密室」/悠一は俊輔の求愛を受け入れられるか

第五章 「吃り」の告白
『私が見出した世界』という本/「私は、……貞三は……」/『仮面の告白』から『金閣寺』へ/「吃り」の告白

第六章 猫を斬ってもなお残るもの
「行為」の一歩手前で/女としての金閣/南泉斬猫と童貞脱却/ 「認識」

第七章 美の現れ
プラトニズムの内/外 /ジュディはマデリンである/現象とイデア/放火のメカニズム

第八章 ニヒリズム研究
火と海/『鏡子の家』の四人の男/ニヒリズム研究/消える樹海

第九章 白鳥に化す天皇
書くことの効用/そのとき親友は……/絹と曳航/文化概念としての天皇/あいまいな顔

第十章 不毛の海
切腹の必要性/もうひとつの謎/海の不毛と豊饒/唯識論/輪廻転生

終 章 真の〈豊饒の海〉へ
お前らはそれでも武士か!/覗き屋/「二」の不可能性/何もない/真の〈豊饒の海〉


【著者プロフィール】
大澤 真幸(オオサワ マサチ)
1958年、長野県松本市生まれ。社会学者。
1989年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。千葉大学文学部助教授、京都大学人間・環境学研究科教授等を歴任。
2007年『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞、2012年『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎と共著)で新書大賞、2015年『自由という牢獄』で河合隼雄学芸賞を受賞。
個人思想誌『Thinking「O」』を主宰。『不可能性の時代』、『〈世界史〉の哲学』シリーズなど著書多数

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