母の教え
10年後の『悩む力』
著者: 姜尚中
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「やっぱり自分は、マザコンだけんね!」

土いじり、野菜づくり、飼い猫と戯れる日々。
妻と二人の田舎暮らし。
時おり脳裡にこだまする、亡き母の声。
ここにいると、世界が鮮明に見えてくる——。

首都圏の住み慣れた自宅を引き払い、これまでの生活をリセットして東京近郊の高原へと移住した著者は、それをきっかけに、今までとは違った眼差しで世界や同時代を眺めるようになった。慣れない土いじりや野菜作りに精を出していると、悲喜こもごもの思い出が、やさしい風や、やわらかな雨のように心を撫でていく。今は亡き、母、父、息子、叔父、先生、友達。今なら言える。すべての愛すべき人たちの思い出こそが私の故郷であり、私の先生だったのだと――。
初めての「田舎暮らしエッセイ」という器に載せて、これまでになく素直な気持ちで来し方行く末を存分に綴った、姜尚中流の”林住記”。累計130万部の、『悩む力』シリーズ第3弾。


【本書の内容】

まえがき
序章  「山」に棲もう
第一章 空を見上げれば、いつでも
第二章 人は、歩く食道である
第三章 花の色
第四章 我々は猫である
終章  故郷について
あとがき



 還暦を過ぎ、古希も近い歳になってから、私は、自分の心身の土台を母が形づくってくれたことを、深く体感するようになった。時にそれは、母が、私に憑依しているとしか思えないほどの生々しい感覚をともなっている。

 私は今、母が身をもって示してくれた教えにならい、おのれに対しても、世間に対しても、絶妙な距離を置く場所で、白秋の終わりを過ごしている。
「人はね、裸で生まれて、裸で死んでいくと。お父さんもそうだったし、私もたい」
 文字が読めなかった母が遺してくれた言葉は、そして表情は、さらに言えば、彼女についてのすべての記憶は、万巻の書物以上に――ことによると、夏目漱石やマックス・ウェーバー以上に――今の私を支えている。
 やがて来る冬への備えは、母にならえばいい。
(「はじめに」より)


著者略歴

姜尚中(カンサンジュン)
1950年生まれ。政治学者。東京大学名誉教授。現在、熊本県立劇場理事長兼館長、鎮西学院学院長。著書は100万部超の大ベストセラー『悩む力』とその第二弾『続・悩む力』のほか、『ナショナリズム』『日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『リーダーは半歩前を歩け』『あなたは誰? 私はここにいる』『心の力』『悪の力』『漱石のことば』など多数。小説作品には、いずれも30万部を超えた『母—オモニ—』と『心』がある。最新の著作は、日本列島を縦断しながら、明治維新から150年にわたる近代化の歴史を通覧し、その光と陰の側面を凝視した『維新の影』(2018年1月刊行、単行本)。
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