松本清張 「隠蔽と暴露」の作家
著者: 高橋 敏夫
清張がよみがえる!
秘密と戦争の時代にこそ、今と過去を丹念に探る。
それが新しい社会をひきよせるーー。
 社会全体に陰鬱な雰囲気がひろがりつつあるこの時代に、松本清張が再び求められている。本書は清張の表現の核にあった「隠蔽と暴露」の方法をたどる。そして、清張の作品をとおして、わたしたちが日常で感じる社会や国家への「疑い」を称揚し、そこにひそむ秘密を見抜く方法を明らかにする。戦争、明るい戦後、政界、官界、経済界、社会的弱者、宗教など、清張が精力的に描いたテーマは多くあるが、戦後最大の隠蔽装置ともいえる「原子力ムラ」にふみこまなかった清張の謎にも迫る。

[著者情報]
高橋敏夫(たかはし としお)
一九五二年生まれ。早稲田大学文学部・大学院教授。文芸評論家。早稲田大学第一文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門は近現代日本文学。『藤沢周平?負を生きる物語』『ホラー小説でめぐる「現代文学論」』『井上ひさし 希望としての笑い』など著書多数。

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