ナチスと隕石仏像
SSチベット探検隊とアーリア神話
著者: 浜本 隆志
ナチス人種主義を支えた“神話”の深層
 二〇一二年、「宇宙から来たブッダ」というタイトルで、シュトゥットガルト大学のグループが、学会誌「隕石学と宇宙科学」に論文を発表した。それによると、アーリア民族のルーツ調査のため、かつてナチス親衛隊(SS)長官ヒムラーが、第二次世界大戦前夜の一九三八年にチベットへ探検隊を派遣した。その折、かれらが発見し、持ち帰った仏像(カバーの写真)が隕石製であったという、驚くべき鑑定結果が報告された。
 胸に「卍」が刻まれたこの仏像の真贋と秘められた現代史に、探検隊の踏査行と仏像、ナチス思想を検証することで迫る、アカデミック・ドキュメンタリー。ナチスの闇が、ここに眠る。

[著者情報]
浜本隆志(はまもとたかし)
1944年香川県生まれ。関西大学名誉教授、ワイマル古典文学研究所、ジーゲン大学留学、ヨーロッパ文化論・比較文化論、博士(文学)。著書に『魔女とカルトのドイツ史』(講談社現代新書)、『拷問と処刑の西洋史』(新潮選書)ほか多数。共著に『欧米社会の集団妄想とカルト症候群--少年十字軍、千年王国、魔女狩り、KKK、人種主義の生成と連鎖』(明石書店)などがある。

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