「火附盗賊改」の正体
――幕府と盗賊の三百年戦争
著者: 丹野 顯
「鬼平」だけではない、武闘派旗本の知られざる素顔
泣く子も黙る“殺しのライセンス”
「火附盗賊改」と言えば “鬼の長谷川平蔵”の名が挙がる。否、正確には長谷川平蔵の名しか挙がらない、とも言える。実際、彼らは町奉行に比べ日陰の立場にあった。だが、強盗・放火といった凶悪犯罪が多発した百万都市・江戸で、火附盗賊改ほど頼りにされた組織はなかった。謎多き存在感と相まって、町人はもちろん武士たちも、畏怖と同時に畏敬の念を抱いたという。
 本著では、凶悪な盗賊一味との対決を軸に、その誕生から変遷、彼らならではの捕り物、苛烈な詮議の様子、幕臣の中での位置づけ、人情味あふれる素顔まで、豊富な資料をもとに、旗本の中でも武闘派の猛者ぞろいだった火盗改の実像に迫る。

[著者情報]
丹野 顯(たんの あきら)
一九四〇年、東京生まれ。作家。東京教育大学文学部卒業。月刊誌、百科事典などの編集者を経て文筆活動に入る。専門は江戸庶民の生活史、精神史。主な著書に『江戸の色ごと仕置帳』『江戸の盗賊』『江戸の名奉行』『暮しに生きる日本のしきたり』『江戸で暮らす。』『江戸のことわざ』など、また「淡野史良」の筆名で『日めくり戦国史』『江戸の庶民のかしこい暮らし術』『大奥101の謎』ほか多数。

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