性のタブーのない日本
著者: 橋本 治
タブーはないが、モラルはある。
『古事記』『源氏物語』から、春画、あぶな絵まで。
丸出しの肉体表現から浮かび上がるもの。
「目が合う」ということと「セックスをする」ということの間に大きな一線がなかった古代。「優雅な恋物語の世界」と思われがちな平安時代ですら、文学や絵巻物からは、強烈な「人間生理」とともに世界を認識していた日本人の姿が浮かび上がる。
 歌舞伎や浄瑠璃の洗練されたエロチック表現や、喜多川歌麿の錦絵に見られる独特な肉体観など、世界に類を見ない、性をめぐる日本の高度な文化はいかに生まれたのか? 西洋的なタブーとは異なる、国民の間で自然発生的に理解されていた「モラル」から紐解く、驚天動地の日本文化論。

[著者情報]
橋本 治(はしもと おさむ)
一九四八年、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、小説、評論、戯曲、エッセイと幅広く文筆活動を行う。『古事記』『源氏物語』『枕草子』『平家物語』といった古典の現代語訳も多い。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調 平家物語』で毎日出版文化賞を受賞。ほかに『上司は思いつきでものを言う』『その未来はどうなの?』『ひらがな日本美術史』『負けない力』ほか。

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