文豪と京の「庭」「桜」
著者: 海野 泰男
祇園の夜桜や竜安寺の石庭、青蓮院の楠……
描かれた情景には、その作家の本質がある!
 仙洞御所庭園」を美しい老いた狂女に喩えた三島、「糺の森」に子規を失った心の寒さを覚えた漱石、「平安神宮」の紅枝垂れ桜にエロスへの憧憬と拝跪を秘めた谷崎……。日本の近代文学を彩る文豪たちは皆、京都の情景に魅せられ、自らの作品にそれを描いてきた。
本書は、祇園の夜桜や竜安寺の石庭など、誰もが知る京都の新たな魅力を、数々の名作を手がかりに描き出す。また、京の「庭」「桜」という新たな視点から文豪を捉え直すことで、彼らの知られざる本質を明らかにした一冊である。

[著者情報]
海野泰男(うんの やすお)
一九三八年、静岡県出身。常葉学園大学元学長。東京大学文学部国語国文学科卒業、同大学院修士課程修了。麻布高校教諭等を経て、一九八四年に常葉学園大学教授。二〇〇二年、学長に就任。同大学名誉教授、常葉学園名誉学長。専門領域は国文学(平安文学)、美術史(西洋絵画)。著書に『エッセイ集 ミラノの雷』(文藝春秋)、『今鏡全釈上・下』(福武書店)(復刻版/パルトス社)、『大鏡上・下』(ほるぷ出版)など。

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