顔を考える
生命形態学からアートまで
著者: 大塚 信一
人間の顔は特別だ。
目、鼻、口が、顔の前面に集ることで、人の思考力は形成された?
 あらゆる動物の中で、なぜ人間だけが複雑な表情をつくれるのだろうか? さらに、最新の認知科学の成果によって、精緻なコミュニケーションや、抽象的思考の源泉が、乳児期の顔認知のメカニズムにあることも判明しつつある。思えば、人は太古の昔から、入墨や仮面、化粧など、多様な「顔」の森に深く分け入ることで、宗教祭儀や芸術を発達させ、共同体を形成してきた。本書は、人文・社会・自然諸科学の成果をたずね歩きながら、人と「顔」の関係について考察した、ユニークな一冊である。

[著者情報]
大塚信一(おおつか のぶかず)
一九三九年生まれ。国際基督教大学卒業。六三年、岩波書店に入社。「思想」や岩波新書、その他の叢書や講座ものの編集を担当。「へるめす」創刊編集長を経て、九七年から二〇〇三年まで、代表取締役社長。著書に『理想の出版を求めて』『山口昌男の手紙』『哲学者・中村雄二郎の仕事』『河合隼雄 心理療法家の誕生』『河合隼雄 物語を生きる』『火の神話学』など。

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