勘定奉行 荻原重秀の生涯
―新井白石が嫉妬した天才経済官僚
著者: 村井 淳志
ケインズより200年も早く今日の貨幣経済を先取りした男の謎!
 膨大な著述を残した新井白石によって、一方的に歴史の悪役に貶められた勘定奉行・荻原重秀。五代将軍綱吉時代後半の幕府財政をほぼ掌中にし辣腕をふるった。マイナスイメージで伝えられる元禄の貨幣改鋳だが、物価上昇は年率三%弱にすぎず、それも冷害の影響が大きい。金銀改鋳以外にも、各種検地、代官査察、佐渡鉱山開発、長崎会所設置、地方直し、東大寺大仏殿建立、火山災害賦課金など、実に多彩な業績を残している。
 本書は、金属貨幣の限界にいち早く気づいた荻原重秀の先駆的な貨幣観に着目しつつ、悪化の一途をたどる幕府財政の建て直しに苦闘し、最後は謎の死を遂げるまでの生涯を描く。

[著者情報]
村井淳志(むらい あつし)
 一九五八年生まれ、名古屋市出身。東京都立大学大学院博士課程(教育学)単位取得退学。金沢大学教育学部教授。専門は歴史教育・社会科教育論。著書に『学力から意味へ』(草土文化)、『歴史認識と授業改革』『「いのち」を食べる私たち』(教育史料出版会)、『脚本家・橋本忍の世界』(集英社新書)など。

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