世界文学を継ぐ者たち
−翻訳家の窓辺から
著者: 早川 敦子
ホフマン、マイケルズ、ロイ、
アーモンド、ダルウィーシュ
この5人から新たな「文学」は始まる
 十九世紀、文豪ゲーテは「世界文学の時代が到来した」という名言を遺した。そして現在、世界の多極化を映し出す「バベル後の光景」から、新たな文学地図が描かれている。村上春樹や吉本ばなながイタリアの街を闊歩し、イギリス国籍の日本人作家カズオ・イシグロが、かの地の精神的風土を英語のキャンバスに描き出す。
 多くの作品を翻訳し、最先端の翻訳理論に通暁した著者が、旧植民地からの声や、ホロコーストの沈黙から芽吹いた言葉に耳を澄まし、「悲しみから生まれた希望」を標す五つの作品を取り上げた。二十一世紀の世界文学案内。

[著者情報]
早川 敦子(はやかわ あつこ)
一九六〇年生まれ。津田塾大学学芸学部英文学科教授。専門は二〇世紀から現代にいたる英語圏文学、翻訳論。訳書に『クマのプーさんの世界』(岩波書店)、『こどもの情景』(パピルス)、『記憶を和解のために』(みすず書房)など。原爆詩、野坂昭如の『ウミガメと少年』(スタジオジブリ)などの英訳も手がける。

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