なぜマレーシア元首相マハティールは、日本に希望を見たのか。
1世紀を生き、植民地支配、日本占領、独立、国家建設と発展をその目で見つめてきた彼の思想の核心は、単なる反欧米でも経済成長至上主義でもなく、イスラームの倫理を基盤とした公正な社会と世界平和への希求にあった。
本書は、彼の日本への高い評価とルックイースト政策の真意、植民地主義を超える視座、宗教間共生への提言を立体的に描く。混迷する国際社会のなかで、日本とアジアが果たすべき役割を問い直す、百年の知恵が凝縮された1冊。
◆「はじめに」より◆
今日の日本は、地域の大国間で高まりつつある緊張を背景に、自国の役割を模索して、内なる葛藤に直面しているように見えます。
日本は、明確な立場を打ち出し、いかなる影響にも左右されないだけの勇気を持たなければなりません。
日本には独自の強みがあり、地域の緊張や紛争、さらには戦争の可能性を高めるような特定の陣営に与するべきではありません。
ーーマハティール・モハマド
◆目次◆
第1章 イギリス植民地統治下の少年時代
第2章 日本との出会い
第3章 思想の原点
第4章 イスラームはなぜ誤解されるのか
第5章 宗教の共生は可能か
第6章 モデルとしての日本
第7章 公正な世界に向けた日本とマレーシアの役割
◆略歴◆
マハティール・モハマド(Mahathir bin Mohamad)
1925年、マレーシア北部クダー州生まれ。エドワード七世医科大学卒業。1946年、統一マレー人国民組織(UMNO)に参加し政治活動を開始。1981年から2003年、2018年から2020年までマレーシア首相を務めた。高度成長期の日本を手本にしたルックイースト政策で知られる親日家。2025年に百歳を迎えた。
編・訳者/久志本裕子(くしもと ひろこ)
上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科教授。