「日本文化論」はどう創られてきたか
戦時下のモンタージュ
著者: 大塚 英志
国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。
「モンタージュ」の語は映画のみならず、写真、広告、雑誌、まんがによって戦時下の日本で流行しプロパガンダのツールとして作り手と受け手に浸透した。
戦時下のメディア理論と文化工作を研究するまんが原作者・批評家が、芸術理論がさまざまな文化と融合し、ファシズム的な表現に変容していくさまを分析。「創られた日本文化論」の正体を明らかにする。

【目次】
第一章 モンタージュ化する「日本」
1 パリ万博とモンタージュしかない「日本」 
2 寺田寅彦と昭和初頭のモンタージュ論ブーム
3 紙芝居とシネ・ポエム
4 絵巻物モンタージュ説の誕生

第二章 モンタージュとしての報道
1 報道写真と国策の実装
2 アマチュアとデータベース
3 今泉武治と原弘――プロパガンダ技術としてのレイアウト
4 報道技術研究会と「心」のモンタージュ

第三章 柳田國男と戦時下のモンタージュ
1 重ね撮り写真からモンタージュへ
2 三木茂ともう一つの「ルーペ論争」

終章    手塚治虫と占領下・戦後のモンタージュ

【著者略歴】
大塚英志(おおつか えいじ)
国際日本文化研究センター名誉教授。
研究者としての専門領域は戦時下大衆文化研究。
この分野の著書に『大政翼賛会のメディアミックス』(平凡社)、『「暮し」のファシズム 』(筑摩書房)、『大東亜共栄圏のクールジャパン』(集英社)、編著に『運動としての大衆文化』(水声社)等。
また柳田國男に関する著書に『「捨て子」たちの民俗学』(KADOKAWA)、『公民の民俗学』(作品社)、編著に『接続する柳田國男』(水声社)等。まんが原作者としても知られる。
  • 発売日:2025年9月17日
  • 定価:本体1300円+税
  • ISBN:978-4-08-721378-2

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