「地元チーム」がある幸福
スポーツと地方分権
著者: 橘木 俊詔
私たちの人生を本当に豊かにするのは、「遠くのオリンピック」ではなく、「近くのチーム」である!

かつては、「地元にプロスポーツチームがある」のは大都市圏に限られていた。
ところが現在では、全国ほぼすべての都道府県に「地元を本拠地とするプロスポーツチーム」(野球、サッカー、バスケット、アイスホッケーなど)が存在する。
この画期的な状況は、何を物語るのか。
格差研究など、経済データに基づく社会分析の第一人者が、「中央集権から地方分権へ」という日本社会のキーワードに重ね合わせつつ、その意義を多方面から分析する。

【目次】
はじめに プロスポーツの振興が地方を活性化する
日本のプロスポーツチーム一覧
序章 「東京一極集中」は何が問題なのか
第1章 「スポーツの中央集権」が生み出す功罪
 1 2020年東京オリンピックこそ「悪しき中央集権」の象徴
 2 東京集中の象徴、箱根駅伝競走の功罪
 3 東京発スポーツメディアの功罪
第2章 プロスポーツはすでに「地方分権」にシフト
 1 プロ野球の地方移転
 2 日本野球機構(NPB)以外の野球組織
 3 地方大学野球部の躍進
 4 Jリーグの地方分散
 5 バスケットBリーグの発足と現状
 6 アイスホッケー・アジアリーグ
第3章 プロスポーツが「地方都市」で繁栄する効果
 1 スポーツ繁栄の一般的効果
 2 コミュニティ活性化の事例
 3 J3から見る地域スポーツの現状と課題
 4 市民球団というあり方
第4章 地域のライバル意識による「ダービー・マッチ」
 1 メジャーリーグの「ダービー」
 2 サッカーの「ダービー・マッチ」
 3 日本における「ダービー・マッチ」
終章 プロスポーツ「地方展開」のさらなる可能性を探る

【著者プロフィール】
橘木俊詔(たちばなき としあき)
1943年生まれ。京都女子大学客員教授(労働経済学)。
ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京大教授、同志社大教授を歴任。
日本の格差社会の実態を経済学の立場から分析し、『日本の経済格差』『格差社会』(ともに岩波新書)など多くの著作を発表している。
スポーツ関連の著作には『プロ野球の経済学』(東洋経済新報社)『スポーツの世界は学歴社会』(齋藤隆志と共著、PHP新書)などがある。

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