子規と漱石
友情が育んだ写実の近代
著者: 小森 陽一
「今度は如何なる文体を用い給う御意見なりや」
ふたりが模索した新たなリアリズムの技法とは
 一八九五年。夏目漱石は俳句を教わるという名目で、結核が見つかり意気消沈する正岡子規を松山に呼び寄せた。
子規が得意とする俳句を通して、彼を元気づけるために……。第一高等中学の同窓生である二人は、意見を戦わせながら新たな表現を模索した。
 本書は、そんな「文学者の友情」を描きながら、子規が俳句・短歌に持ち込んだ「写生」概念の成立過程を解説。また、子規が病床で描いた随筆『墨汁一滴』『病床六尺』『仰臥漫録』にも焦点を当て、そこに通底する写実主義を読み解く。

[著者情報]
小森陽一(こもり よういち)
一九五三年東京生まれ。北海道大学文学部卒業。同大学大学院博士後期課程退学。成城大学助教授などを経て、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専門は日本近代文学。「九条の会」事務局長。『漱石を読みなおす』(岩波現代文庫)、『小森陽一、ニホン語に出会う』(大修館書店)、『大人のための国語教科書 あの名作の“アブない”読み方!』(角川oneテーマ21)、『漱石論 21世紀を生き抜くために』(岩波書店)、『文体としての物語・増補版』(青弓社)など著書多数。

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