なぜ『三四郎』は悲恋に終わるのか
――「誤配」で読み解く近代文学
著者: 石原 千秋
『三四郎』『それから』『蒲団』『暗夜行路』
『痴人の愛』『雪国』『春の雪』……
文学が抱え込んだ苦悩とは何か。
 夏目漱石『三四郎』『それから』、田山花袋『蒲団』、森鴎外『雁』、川端康 成『雪国』、三島由紀夫『春の雪』……近代文学の名作の多くが「悲恋小説」なの はなぜなのか。著者は哲学者ジャック・デリダが用いた「誤配」という概念を鍵 にしてそれらを再解釈する。そして「恋愛」というテーマに留まらない、近代文 学と現代文学との間に横たわる大きな断層を見出す。
『雁』は読者がお玉に恋をする物語だった、自分の性欲に「愛情」という名が 欲しかった『雪国』の駒子……あの名作に隠された秘密を、全く新しい読み方に よって明らかにする一冊。

[著者情報]
石原千秋(いしはら ちあき)
一九五五年東京都生まれ。専門は日本近代文学研究。成城大学大学院博士課程を経て、一九八三年東横学園女子短期大学助教授。一九九三年成城大学文芸学部教授。二〇〇三年より早稲田大学教育・総合科学学術院教授。『「こころ」で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『読者はどこにいるのか』(河出ブックス)、『謎とき 村上春樹』(光文社新書)、『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)など著書多数。

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