ヒロシマ
―壁に残された伝言
著者: 井上 恭介
「あの日」から半世紀。覇権とテロの時代に、改めて「ヒロシマ」を問う。
広島市の小学校の、剥げ落ちた壁の奥に、白墨で書かれた伝言が見つかった。それはかつて原爆資料館にも展示されていた菊池俊吉氏撮影の「被爆の伝言」写真の、その原物が、二〇世紀の末になって再び人々の前に現れた奇跡の瞬間だった。著者はNHK広島放送局のディレクターとして取材を始める。
 一九四五年八月、辛うじて倒壊をまぬがれた袋町国民学校は、被災者の救護所として使用された。安否をたずね、消息をしらせる短い伝言。長い年月を凌いできた縁者が、初めて直に伝言に向き合う一瞬。半世紀を経て蘇る「あの日」。覇権とテロのせめぎあう時代に、改めてヒロシマを問う。

[著者情報]
井上 恭介(いのうえ きょうすけ)
一九六四年生まれ。八七年東京大学法学部卒業、NHK入局。静岡放送局、報道局番組部等を経て、広島放送局報道番組ディレクター。中華五千年の至宝から歴史をひもとくNHKスペシャル「故宮」、政権幹部への取材から百万人をこえる自国民を殺したカンボジア、ポル・ポト政権の謎に迫るNHKスペシャル「ポル・ポトの悪夢」を制作。それぞれ取材記をもとにした共著書『故宮』『なぜ同胞を殺したのか』(共にNHK出版)がある。
  • 発売日:2003年7月17日
  • 定価:本体700円+税
  • ISBN:4-08-720192-9

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