親鸞
―悪の思想
著者: 伊藤 益
「いま」「ここ」に生きるあなたに八百年の時空を超えて、親鸞の「悪の思想」がよみがえる!
「善人なほもつて往生を遂ぐ。いはんや、悪人をや」日本思想史において、もっとも著名な言説ともいえる親鸞の言葉である。でも、なぜ「善人」ではなく「悪人」なのか。親鸞の弟子唯円によって記された『歎異抄』の中のこの一節を、筆者は、おのれの存在論的悪に目覚めた人間が「悪人」なのだ、ととらえる。他者を排除し犠牲にすることによってしか生きられない自分が「いま」「ここ」に在ることの申し訳なさを自覚すること。この澄み切った「悪の思想」こそ、八〇〇年の時空を超えて、現代によみがえる親鸞の思想の現代的意義なのだ。

[著者情報]
伊藤 益 (いとう すすむ)
一九五五年、京都市生まれ。筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程修了。文学博士。現在、筑波大学哲学・思想学系助教授。専攻は日本思想。主な著書に『ことばと時間』(大和書房、日本倫理学会和辻賞受賞)『日本人の知』『日本人の愛』『「信」の思想』『日本人の死』『旅の思想』(以上北樹出版)などがある。
  • 発売日:2001年8月17日
  • 定価:本体740円+税
  • ISBN:4-08-720102-3

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