江戸の好奇心 花ひらく「科学」
著者: 池内 了
日本の科学研究のルーツは江戸時代に遡る。
長期に及ぶ政治的安定の中、人々は好奇心の趣くままに蒐集や実験、そして探究に没頭した。
その分野は数学、博物学、物理学、生物学(動物の飼育法や植物の品種改良)、花火や時計等の職人技術と、膨大な範囲に及ぶ。
さらに江戸の人々が熱中した「科学」の中には、今日の我々が失いつつある大切なものが隠れている。
本書ではそうした知の蓄積を丁寧に辿り直し、近代科学とは一線を画す「もう一つの科学」の姿を浮かび上がらせる。
『司馬江漢』『江戸の宇宙論』に続く「江戸三部作」、ここに堂々の完結。


【目次】 

はじめに
第一章 和算
日本の数学の簡単な歴史/数学の三分類/「算勘碁智恵阿呆の内」/遊歴和算家/「和算」のその後
第二章 博物誌
本草学から博物誌へ/さまざまな「博物誌」学者たち/博物大名/「紅毛博物学」/私の印象に残った人たち/江戸の博物誌の終焉
第三章 園芸
花卉・花木園芸の歴史/園芸文化の広がり/奇品ブーム/江戸の農業・野菜作り
第四章 育種
鼠/金魚/鳥/虫/蚕
第五章 技術
鉄砲・花火/望遠鏡・眼鏡/時計/からくり
おわりに


【著者略歴】
池内 了(いけうち さとる)
天文学者・宇宙物理学者。1944年兵庫県生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。
同大大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。名古屋大学名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。
『科学の考え方・学び方』で講談社出版文化賞科学出版賞(現・講談社科学出版賞)を受賞。
著書は『物理学と神』『宇宙論と神』『司馬江漢』『江戸の宇宙論』『科学者と戦争』『科学者と軍事研究』
『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』『姫路回想譚』など多数。

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