始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎
著者: 渡邉 義浩
【『キングダム』から、2000年間、中国を「影」から支配してきた原理を読み解く! 】

・秦の統一は400年早かった。秦を「異常な国」に変えた法家の思想
・媧燐も李牧も呉鳳明も、なぜ「他国を滅ぼして中華統一する」と言わないのか?
・なぜ鄴の城主は難民を受け入れたか? 背後にあった氏族制社会
・李牧の「七国同盟」は、既得権者たちの抵抗の象徴
・2000年間、中国大陸を規定してきた国家モデル「古典中国」
・中国人はなぜこれほど「自信満々」なのか?

【本の内容】
●秦は「ベンチャー的体質」ゆえに中華統一できた●
初の中華統一を成し遂げた秦は、もともと「田舎の小国」に過ぎなかった。
しかし、既得権者も少数だったため、リーダーが「抵抗勢力」を封じ込めることができた。
「技術革新」にいち早く対応し、新たな社会体制を構築できたのだ。
一方の六国は、フットワークが重く、テクノロジーがもたらす「新しい秩序」に背を向けたことで、秦に敗れた。

●法家は歴代帝国に引き継がれた●
秦が社会体制変革を行なう際に、理論的支柱となったのが「法家」の思想だった。
これにより、国内の全リソースを「君主」一人が管理・収奪するシステムを作り上げる。
秦の滅亡後も、法家は形を変え、歴代国家に引き継がれた。
結果、人類史上、中国大陸でだけ、繰り返し統一帝国が興ることとなった。
中国大陸の帝国が、広大な領土を中央から一律に支配し続けたのは、「始皇帝の遺産」を引き継いだからなのだ。
そして、法家は現代中国でよみがえりつつあるように見える。

●『キングダム』で通奏低音のように流れる法家●
原泰久氏の漫画『キングダム』では、法家改革後の秦と、旧式の社会体制である六国の対比が見事に描かれている。
本書では、『キングダム』という物語に流れる地下水脈を、25点もの名場面を引用しながら縦横に解説する。

【目次】
第1章 『キングダム』前夜 ~春秋戦国時代はなぜ550年も続いたのか?
第2章 法家と秦の大改革
第3章 中華統一と空前の権力
第4章 始皇帝はなぜ儒家を憎んだのか
第5章 理想のゆくえ

【著者略歴】
渡邉 義浩(わたなべ よしひろ)
1962年、東京生まれ。筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了。文学博士。
現在、早稲田大学理事、文学学術院教授。大隈記念早稲田佐賀学園理事長。三国志学会事務局長。専門は古代中国思想史。
『三国志 演義から正史、そして史実へ』(中公新書)、『三国志事典』(大修館書店)、『春秋戦国』 (歴史新書)など著書多数。

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