「定年後」はお寺が居場所
著者: 星野 哲
あのドラッカーもお寺を
「NPOの原点」として評価していた!

世界的ベストセラー『マネジメント』などで知られる経営学者のP・F・ドラッカーは、著書『非営利組織の経営』の日本語版の序文の冒頭、以下のように述べている。

「最古の非営利組織(NPO)は日本にある。日本の寺は自治的だった。もちろん非営利だった」と。

今やお寺はお葬式やお墓参りの時だけ行く場所ではなくなっている。近年、婚活や子育てサポート、退職後の再就職支援に、住まいの提供、最期の看取りまで面倒を見てくれるお寺が増えつつある。

30年以上、お寺と関わってきた著者が、こうしたお寺の可能性に着目。過疎や少子化で寺院の消滅が叫ばれる時代に奮闘する僧侶の姿を通じて、お寺が持っていた地域コミュニティの核としての機能を論じる。著者のメッセージは明快だ。

【目次/見出しは抜粋】
序章 寺は生きている人のためにある
「いま」「ここ」の苦に向き合う
深刻な社会的孤立

第1章 出会いの場としての寺
ご縁をつなぐ場に
ソーシャル・キャピタルとサードプレイス
日本一若者が集まる「劇場」寺院―大阪市・應典院
お寺が主催の婚活「寺コン」―吉縁会
第2章 子育ても、寺で
子育ての悩みを共有―京都市・東光寺
広い本堂は親子の遊び場
貧困の子どものために寺子屋を―名古屋市・性高院

第3章 人の悩みに寄り添う寺
あなたのお話お聴きします―東京都港区・正山寺
自死・自殺にも向き合う
街なかに集う「場」を開く
中高年の「生きがい」支える―石川県金沢市・乗圓寺
就労支援のパソコン教室
引き取り手のない遺体を葬儀・埋葬―群馬県館林市・源清寺
身元保証、フードバンク 広がる活動
宿坊で過疎地を支えたい―鳥取県八頭郡八頭町・光澤寺

第4章 人生の終末を支える寺
「いのち」に向き合う―東京都文京区・浄心寺
ホスピスや緩和ケア病棟へ
生前契約で老後から死後まで支える
「四苦抜苦」こそ僧侶の役割―長野県松本市・神宮寺
コミュニティケア目指し介護事業
永代供養墓でコミュニティづくり―新潟市・妙光寺
跡継ぎ・血縁にこだわらない
地域のお祭りに
終章 居場所としての寺に出会うには
コミュニティの核となる寺

【著者略歴】
星野 哲(ほしの さとし)
立教大学社会デザイン研究所研究員。朝日新聞記者を経て独立。墓や葬儀の変化を通して見える家族や社会の変質に興味を抱き、取材・研究を続ける。終活関連分野全般、特に人生のエンディングを社会でどう支えるかに関心があり、その中で社会的リソースとして寺院の役割に着目。単著に『終活難民 あなたは誰に送ってもらえますか』『遺贈寄付 最期のお金の活かし方』などがある。

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