<ヴィジュアル版>反抗と祈りの日本画
中村正義の世界
著者: 大塚 信一
画壇のエリートはなぜ異形の舞妓を描いたのか?
 日本の伝統的美意識の象徴として、美しく描かれてきた舞妓像。しかしそれは本当の舞妓の姿を捉えているのか。美しく表現するだけでは、舞妓の本質を捉えたことにはならないのではないか。
 画家の中村正義(一九二四ー一九七七年)は、折角つかんだエリートの道を捨てて画壇の旧い体質と対決、こうして怪異な舞妓像を描き続けた。生涯、病気がちだった彼は、そのような舞妓に自らを重ね合わせ、さらに舞妓をあたかも仏画のごとく描くようになっていく……。
 異端の画家の生涯を見直し、舞妓像・仏画・風景画・顔の連作といったジャンルごとにその作品を解読する。初の入門書にして決定版。

[著者情報]
大塚信一(おおつか のぶかず)
一九三九年生まれ。六三年、岩波書店に入社。「思想」や岩波新書、その他の 書や講座シリーズの編集を担当。「へるめす」創刊編集長を経て、九七年から二〇〇三年まで代表取締役社長。著書に『理想の出版を求めて』『山口昌男の手紙』『哲学者・中村雄二郎の仕事』『河合準雄 心理療法家の誕生』『河合準雄 物語を生きる』『火の神話学』『顔を考える』『松下圭一 日本を変える』『宇沢弘文のメッセージ』など。

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