シリーズ<本と日本史> 2
遣唐使と外交神話
『吉備大臣入唐絵巻』を読む
著者: 小峯 和明
浮かび上がる日本人「劣等感」と「優越感」
吉備真備“ヒーロー伝説”誕生の謎に迫る!
〈本と日本史〉は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を捉え、当時の世界観・価値観の実態を考察する歴史シリーズ。
 第二巻の本書が扱うテーマは「遣唐使」である。だが実証的な遣唐使ではない。一二世紀末から一三世紀初頭にかけて制作された『吉備大臣入唐絵巻』を中心に、一九世紀にまで連なる後代に仮構された遣唐使〈像〉を検討する。大国への対抗意識や異国・異境への尽きぬ思いが託された幻想の中の遣唐使は、日本の劣等感と優越感がないまぜになった東アジア文化交流の象徴でもあった。そして今なお、時代を超えた国際関係のあり方を探る拠り所として、複眼的な視点を提供し続けるのである。

[著者情報]
小峯和明(こみね かずあき)
立教大学・名誉教授。中国人民大学・高端外国専家。文学博士。専門は、日本中世文学・東南アジア比較説話。一九四七年、静岡県生まれ。一九七七年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。著書に『今昔物語集の形成と構造 補訂版』『説話の森│中世の天狗からイソップまで』『中世説話の世界を読む』『今昔物語集の世界』『『野馬台詩』の謎 歴史叙述としての未来記』『中世日本の予言書ー〈未来記〉を読む』など多数。

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