試し読み
一般に自由はどのように捉えられているだろう?
言葉の使われ方を観察すると、たとえば、自由行動、自由時間という場合、決められたスケジュールがない状態を示している。多くの人は「自由」を、「暇な」とか「することがない」状態としてイメージしているかもしれない。
必ずしも、「自由」は素晴らしい意味には使われていない。仕事や勉強に追われていると、ついついゆっくりと休みたくなる。少しくらいは怠けたくなる。「一日中寝ていたい」というような欲求が、「自由」から連想される個人的な希望である場合が多い。
はたして、これが本当の自由だろうか?
もちろん「支配からの解放」であることにはまちがいない。ただし、多くの人にとっては解放されること自体が、自由の価値になっている。解放されたことで何ができるのか、といった「自由の活用」へは考えが及んでいないように見える。
森 博嗣(もり ひろし)
一九五七年生まれ。作家。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をする傍ら、一九九六年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。以後、次々と作品を発表し、人気作家としての不動の地位を築く。「スカイ・クロラ」シリーズ、S&Mシリーズ、Gシリーズをはじめ、『臨機応答・変問自在』『墜ちていく僕たち』『ゾラ・一撃・さようなら』『工作少年の日々』など、著書多数。
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