断食と現代医療
甲野 それぞれの世界の専門家には積み上げてきたものがあって、それに反するものが出てきた時体裁を保つために、それを無視することはよくあることですよね。糖質制限の話にしても、医学界が今まで表に出さないようにしてきたのは、結局、メンツが絡んでいるのでしょう。
断食をやったり、生野菜だけでの極端な食事療法を行って難病を克服した人がいるわけですが、事実をそのまま、ありのままに見るのが科学だったら、それを真摯に研究する必要はあるはずでしょう。確かに誰もが出来る方法ではないかもしれないけれど、現実にそういう例はあるわけですから、それこそ志願する人間には、その方法を試みることを止めずに、それはそれできっちり研究すべきだと思うのですが、表の医学界はそういうことに一切ノータッチでしょう。
スポーツでもオリンピックを目指す人もいれば、趣味で行う人もいるわけで、幅があるわけです。それと同じように、病気の治し方にしたって、とてもハードで普通の人は出来ない方法でも、それに取り組みたい人間があれば試みさせればいい。厚生労働省なり医療機関は本来ならそうしたハードな方法で健康になった人がいるという事実を認めて、さらに深く研究すべきです。治療法の選択肢の一つとして、ちゃんと開示すべきだと思うのです。
小池 食養生については万人向きではなくても、ベストケースとして記載しようという流れは、なくはないんですよね。青汁一杯で暮らしている森美智代さんは、「どうしてあの人は生きていられるのか」と思われて、理化学研究所の辨野義己先生をはじめとした先生方により研究されています。腸内細菌が牛と類似しているようで、アミノ酸を作り出す菌が非常にたくさんいるという結論は出ているみたいですね。ただ、通常の僕たちが選ぶ選択肢の一つとして提示されるような段階ではないんです。