出会いの話
光岡 内田先生との出会いは甲野善紀先生がきっかけでしたよね。大阪の朝日カルチャーセン
ターで甲野先生と講演した際、精神科医の名越康文先生と共にご紹介いただいた。何か強い視
線を感じるなと思っていたら、それが内田先生と名越先生でした。
内田 あれは何年前でしょうか。
光岡 たしか私が韓氏意拳に出会う前ですから二〇〇二年ですね。
内田 お会いした翌日に甲野先生とご一緒に講習会をされたときにうかがいました。講習会の
後にお昼ご飯を食べながらお話ししましたね。そのときに大学に来て講習会をしてくださいと
お願いしたので、次にお会いしたのは神戸女学院大学で講習会をお願いしたときですね。あの
ときは最初からけっこうたくさん人が来ましたね。五十人くらい来たんじゃないかな。
光岡 内田先生のところには人が集いますね。
内田 そうかもしれないですね。こうして対談させていただくにつけ思うのですが、ぼくのよ
うな身体能力の低い人間が、こと武道に関しては例外的に幸運な出会いを続けている。こうい
うのは、やはり「武運がある」と言っていいと思うんです。生得的な身体能力は際だって高い
けれども、それを伸ばしてくれる人と出会えない人だっていますからね。
光岡 運はたしかに大事です。
内田 せっかく才能を持って生まれながら、それを開花させるきっかけに出会えないのって、
本当にもったいない。でも、出会いに恵まれない人って、新たな出会いを自分の方から避けて
いるような印象がありますね。自分がやってきたことを変えたくない、自分のしてきたことに
執着があるという人はやはり新しい出会いには恵まれないですね。