序章 関電の電力不足騒動
日本で電力不足は起こらない
本書は、日本の電力不足騒動について、いまだに一部の日本人が気づいていないこと、すなわち「原発がなければ電力不足が起こる」は大噓だという事実を知らせるための書である。つまり、エネルギー業界の人間であれば、誰でも知っていながら、一般国民とマスメディアが知らない(あるいは充分に認識していない)ビックリするような事実ばかりが、ここにある。その種明かしを今からご覧にいれたい。
原発を即時に全廃できる新エネルギー技術が、すでに日本では完全に用意されているのである。自然エネルギーの普及を待たずに、である。
かつて工場エンジニアだった私は、二〇一二年夏前から関西電力(関電)が引き起こした大飯原発再稼働のための陰謀「電力不足騒動」を眺めながら、わが国が世界トップの工業立国を自任してきたというのに、これほど多くの企業家とマスメディアが電力事情について知らない姿に、自分の眼を信ずることができなかった。
わが国から原発を廃絶するには、本来は、原発の危険性を国民が認識するだけで充分である。しかし市民運動が強く原発の廃絶を求めても、経団連(日本経済団体連合会)のように奇怪な「財界人」なる集団が登場してきて、それを妨害しようとする日本では、エネルギー業界で何が起こっているかを、誰もが知っておく必要がある。市民運動だけでなく、産業界が共に認識して、手を結んで「原発を廃絶しても何らエネルギー不足の問題は起こらない」というコンセンサスに到達しなければならないのだ。市民運動と産業界が、それぞれ勝手に、別々の未来エネルギーを考えている現状は、まったく好ましくない。そのための具体的な解決策が、すでに実施され、成功していることを実証するのが、本書である。
答は、すでに目の前にあるからだ。誰もが、目を開いて見てほしい。