●はじめに
男性には不利なダイエット
 近年、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が大きな話題になっています。以前、お腹をぽっこり突き出し「デブ」と呼ばれたおじさんも、今では「メタボ」と揶揄されるなど、メタボリックシンドロームという言葉はすっかり定着した感があります。
 この言葉は、生活習慣病にかかる前の状態や軽度の生活習慣病が、単独で発症するより肥満と合併して発症したほうが、狭心症、心筋梗塞といった虚血性心疾患になりやすい高リスクの病態であると認識され、WHO(世界保健機関)、IDF(国際糖尿病連合)によって提唱されたものです。
 メタボリックシンドロームの該当者とその予備群は、四〇〜七四歳の男女合わせて約二〇一〇万人もいることが、厚生労働省の調査によってわかっています。その上、女性の場合は同年代の一九・二%が該当者・予備群なのに対して、男性の場合は五六・二%と三倍近くも多いのです(『平成19年国民健康・栄養調査結果の概要』厚生労働省)。
 生活習慣病の最大の敵は肥満であり、生活習慣病を予防し改善するための体重減少対策に最も大きな効果があるのが、食生活と運動習慣(身体を動かすこと)です。両者は自転車の両輪のようなもので、どちらが欠けても効果は少なく、長続きしません。
 よく聞かれる「ダイエット」という言葉は、もともとは食事療法のことです。肥満の改善に食事療法が欠かせないことから、ダイエットは「食事療法によって体重を減少して、肥満を改善する」という意味でしたが、今では「体重の減少」という広い意味で使われるようになりました。
 ところが現実には、出っ張ったお腹をさすり、健康のために、やせなくてはいけないことがわかっていながら、そのために何か具体的な行動を起こしている男性がどれほどいるかというと、まだまだ少ないといわざるを得ません。
 少なくとも週五日は会社での生活を余儀なくされている男性サラリーマンにとって、一日三食のうち一食ないし二食は外食になることが多く、食生活は大きく制限されています。ダイエットにとって、これはとても不利なことです。
 すべての外食のメニューがそうとはいい切れませんが、多くは高カロリーで塩分過多、メニューもマンネリになりがちで、食べる量もコントロールしにくいものです。脂肪摂取の増加、朝食抜きや昼食抜き、空腹時間が長く、一時に多くとるまとめ食いやどか食いといった食べ方、夜の多食など、不規則な食生活、誤った摂食パターンが肥満になりやすく、やせにくい身体にさせてしまうのです。