ところで、最初の質問「フィンランドってどんな国?」に戻ってみたい。じつはよく気をつけてみてみると、近年テレビや雑誌で「フィンランド」という言葉を耳にすることが日本でも多くなってきた。とくに、二〇〇四年に公表された、経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査(PISA)で、フィンランドの中学生たちが世界トップの成績をあげて以来、世界中でフィンランドの教育に注目が集まりつつある。今まで陰に隠れた北欧の小国であったフィンランドにスポットライトがあたってきているのは、私としてもうれしい限りだが、フィンランドは、まだまだ日本人には馴染みの薄い国だ。でも、教育はもちろん、フィンランドには、日本や他の国も見習いたいこと、フィンランド人や文化の不思議なところ、私たちが普段知らないことがたくさん埋もれていて、なかなか奥が深いのだ。
それではここで、皆さんのフィンランドに関する予備知識をチェック。「フィンランドといえば……」。この後に、どんなことを思い浮かべるだろうか。
サウナ、サンタクロース、ムーミン、キシリトール、冬のスポーツ、福祉の国、オーロラ、森と湖、ノキア、IT産業、教育……。
この中に、皆さんの思い浮かべたものが一つでもあっただろうか。なんのことだかわからない、何も思い浮かばなかったという方も、どうぞご心配なく。この本を読み終わるころにはきっとあなたもフィンランド通になっているでしょう。