篠田桃紅(しのだ とうこう)
美術家。1913年3月28日、旧満州・大連生まれ。数え年で現在103歳。本名は篠田満州子。5歳の頃から父に書の手ほどきを受け、桃紅という雅号が付けられた。墨を用いた抽象表現という新たな芸術を切り拓き注目を集め、1956年、単身ニューヨークへ渡り、個展を開いて絶賛を受ける。作品は国内だけでなく海外の美術館にも多数、所蔵されている。
国内だけでなく海外からも高い評価を得る現役最年長画家・篠田桃紅。女学校を出たら誰もが結婚した時代に独身を貫き、創作活動に専念。戦後、海外に行くことが困難だった時代に単身渡米し、一流のギャラリーで個展を開いて絶賛を受ける。
「我慢しない」「期待しない」「逆らわない」など、独自の人生哲学が共感を呼び、幅広い層から支持を集めている。
本書は著者の初の自伝であり、充実した毎日を送るための人生訓である。
「『自』という字に『由る』が、自由です。
私は自由です。自らに由って生きていますから」
「常識の世界に暮らさなかったから、長生きできた」
「それほどの期待を持たなければいいんです、
この人生というものに」
「人間同士がお互いに立てあえるように、
ぶつかって面倒なことにならないように、
そういう生き方こそ上等な生き方かなあと思うわね」
「知り合いのおばさんとか校長先生とかがすすめる人と
結婚して、それで運よくいい人にあたればいいけど、
これはくじびきみたいなものだ。あたらなかったら、(中略)
なんのために結婚したんだろうってことになる」
「学校などでも、お手本どおりに書く生徒を褒めて、
いい点をつける。お手本どおりというのは、すなわち偽物を
つくるということ。(中略)そこに新しい価値はないですよ」
「子どものときから、規準とか規格に従ってませんから、
トシを規準にしたこともない」