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ガザの声を聴け!

003 「ガザ・アントレプレナー・チャレンジ」

 2016年8月10日水曜日、ガザ南部のハンユニス地区にあるUNRWA「ウンルワ」の職業訓練校で「ガザ・アントレプレナー・チャレンジ」は始まった。

 主催は日本でこの事業を立ち上げた日本・ガザ・イノベーション・チャレンジ(Japan Gaza Innovation Challenge)だ。UNRWA「ウンルワ」を始め、国連開発計画等、10以上の組織・団体が共催だ(写真1:ステージの背景)。

 当日は朝から続々と参加者・関係者が集まった。皆若い。その半分は女性だ。彼らはほとんどが20代だった。大半が無職・失業中なのにもかかわらず、ものすごい量の熱気を放っている。目が輝いている。笑っている。ここはあのガザだろうか。

 コンテストが始まった。応募者は全部で200人はいる。会場となった細長い教室の端から端までいっぱいだ。開会式で柄にもなく、私が挨拶をさせられた。何を言って良いか分からず、内容のないうんちく話をしてもしょうがないので、彼らの元気に負けないように、「皆、元気!?」と声をはりあげた。彼らは、それにガッツポーズで答えてくれた(写真2:開会式のステージから参加者を撮った写真)。

 コンテストは最初から最後まで、度肝を抜かれっぱなしだった。開会式の後、全部で10あるチームが順に自分たちのプロジェクトを発表した。

 あっと驚くプロジェクトもあったし、素人の私が見ても、大丈夫だろうか、と思うのもあった。おそらく起業の専門家からすれば、石の方が若干多い、玉石混淆だったのだろう。ただ、皆の熱意と情熱は全て玉であった。それも最高の。

 その中で特に印象的だったのが、優勝したマジド・マシュハラウィさん(Majd Almashharawi)だ。彼女は1993年の11月生まれ、コンテストの時は22歳だった。ガザの大学で土木工学を学んだ。大学は卒業しているが、職はない。それでも、彼女は自分でGreen Cakeというグループを作っていた。

第3章4回は10月27日(金)掲載予定
(2017年10月20日掲載)

清田明宏(せいた あきひろ)
作者近影

1961年福岡県生まれ。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=ウンルワ)の保健局長で医師。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。世界保健機関(WHO)で約15年間、中東など22カ国の結核やエイズ対策に携わった。2010年から現職。中東の結核対策では、患者の服薬を直接確認する療法「DOTS」を導入し、高い治癒率を達成。その功績が認められ、第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞を受賞した。

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