集英社新書
カルチュアどんぶり
作者近影 金平茂紀(かねひら しげのり)
TBS「報道特集」キャスター。1953年北海道生まれ。1977年TBS入社。報道局社会部記者、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長及びTBSインターナショナル副社長等を歴任。2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」受賞。著書に『テレビニュースは終わらない』『世紀末モスクワを行く』『電視的』『二十三時的』『ホワイトハウスから徒歩5分』『報道再生ーグーグルとメディア崩壊』(河内孝氏との共著)他。


12-01(1) 2011年ジャンル無視・極私的ベスト20

筆者撮影筆者撮影

 ああ一年なんてあっという間に過ぎ去っていく。ことし経験したあらゆる文化的事象は〈3・11〉と無関係ではいられない。以下、ノンジャンルでこころに残ったもの。
●映画と小説ともにカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』。この作品は〈3・11〉以降、何か自分の中で特別の意味を帯びたようにさえ思った。●来日した国立モスクワ合唱団のG・カンチェリ『アマオ・オミ(無意味な戦争』。美しくかつ激しい曲だった。揺さぶられた。●来日したユーリー・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ合奏団の武満徹「他人の顔」より『ワルツ』。勇気づけられた。●ポーランドの前衛劇団テアトル・シネマの公演『ホテル・デュ』。カントール以降の継承を見た思い。●井上ひさし連続追悼公演『雨』。東北の土着性の強靭さ。勇気をもらった。●8月15日のプロジェクトFUKUSHIMA。大友良英、和合亮一、遠藤ミチロウ、二階堂和美、遠藤賢司、坂本龍一。『詩の礫』『蝉にたくして』。音楽とことばのちからを再認識した。●東京都写真美術館の畠山直哉展。自然と人間の二元論を超えた風景写真。●ヒロシマ賞受賞記念のオノ・ヨーコ展『希望の路』。強さと勇気。●来日したマレク・ヤノフスキ指揮のベルリン放送交響楽団。ブラームス交響曲3番、4番。●笠井叡、笠井瑞丈らのダンス『Utrobune〜虚舟〜うつろぶね』公演。最近久しぶりに手にした『天使論』のエネルギーはまだ続いていた。●黒岩比佐子さんの著書『パンとペン』。昨年の本だがひどく感銘を受けた。●ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』待望の邦訳。震災後の復興をどのようにみていくかに深い示唆を与えてくれた。●ETV特集『放射能汚染地図』。今年のテレビ番組の最高水準の達成。●是枝裕和監督の『奇跡』。純粋なるもの。無垢なるもの。●陸川監督『南京!南京!』の二回限りの国内上映。見たくないものから目をそむけてはならない。●平野勝之監督『監督失格』。これはいまだに肯定と否定があい半ばしている、自分の中で。●砂田麻美監督の『エンディング・ノート』。●雑誌『みすず』。今年いちばん真剣に読んだ活字はこの雑誌においてだったと思う。若松英輔氏の『協同する不可視な「隣人」』(9月号)は、なかでも激しくこころを揺さぶられた論考だった。●西村賢太『苦役列車』。今年は小説があまり読めなかったなあ。これはまだずしんと残っている。●勝又進の復刻作品集『深海魚』『赤い雪』。どちらもすばらしい!


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